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  • 執筆者の写真江川誠一

人口動態★社会経済データからみたコロナ禍①

更新日:2021年2月24日

2020年の人口動態を2019年と比較すると次のようにまとめられる(注1)。


  • 出生数は2.9%減(過去最低の水準)

  • 死亡数は0.7%減で11年ぶりの減少

  • 自然増減数は減少(マイナス50万人を超える水準)

  • 死産数は10.5%減

  • 婚姻件数は12.7%減で1950年以来の減少率

  • 離婚件数は7.7%減


全て減少しているが、各々、多様な解釈が考えられる。

コロナ禍がなかった架空のケースを考え、それとの比較を基本として以下に考察する。

(グラフは全て、2019年と2020年の月次データの比較)


  • 出生数の減少は1974年以来続いている傾向であり驚きはない。むしろ2019年の対前年大幅減と比べて一旦歯止めがかかったかのようにみえる。一方で、妊娠届出数は2020年1〜10月で対前年比マイナス5.1%(注2)となっており、1〜4月は方向感なく推移したものの5月の大幅減(注3)のあと、大きなマイナスが継続している。よってコロナ禍による影響が出生数に表れるのは、この10ヶ月後の2021年3月からであり、2021年の出生数大幅減は避けられない。


  • 死亡数の11年ぶりの減少は意外に受け止められるかもしれない。2020年の新型コロナウイルス感染症による死亡数は3,500人弱であるが、感染対策を講じた結果、季節型インフルエンザウイルスや肺炎による死亡数が、1〜9月で約1万5千人減少している。主にこのことが影響し、我が国では却って死ににくい一年だったという皮肉な結果になった。


  • 自然増減数は、出生数から死亡数を引いた数である。減少という結果はやはり厳しい。


  • 出生数の減少にほぼ比例して死産数も減ると考えられる。一方で、病床の逼迫や院内感染、さらには母体等へのストレスの影響による増加を懸念していたが、数字を見ると杞憂に終わったようだ。


  • 婚姻件数は2000年以降マイナストレンドにあるが、減少率がとても大きい。令和婚ブームの反動に加え、コロナ禍が経済状況の悪化や結婚式等の開催しにくい状況を招き、婚姻を中止あるいは延期したものが多いと推測される。


  • 離婚件数にコロナ禍が影響するとすれば、経済状況の悪化による増減、外出自粛や在宅勤務等の家庭環境の変化による増減等が考えられる。離婚件数の減少は、婚姻件数の減少に連動した結果と捉える方が適切であろう。


 

注1) 厚生労働省「人口動態統計」。2020年10〜12月は速報値

注2) 厚生労働省「令和2年度の妊娠届出数の状況について」

注3)2019年5月はまさに令和婚、2020年5月は最初の緊急事態宣言発出


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