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  • 執筆者の写真江川誠一

死因★社会経済データからみたコロナ禍②

2020年の死亡数は0.7%減で11年ぶりの減少となった。

なぜそのような結果になったのかを、死因別に考察してみたい。


2020年の新型コロナウイルス感染症による死亡者数は、3,500人弱であった。

2019年には確認されておらず、まずこの分が純増となる。

季節性インフルエンザウイルス感染症による2020年の死亡数は、2019年と比べて約2,500人減少すると思われる(注1)。

これを控除すると約1,000人増となる。

この数が概ね、感染症を直接の要因とする死亡の増減とみなすことができよう。

感染対策の徹底により、インフルエンザの流行は強く抑えられ、2021年1〜3月はさらなる低下が見込まれる。

一方でコロナによる死亡者数は、2021年の2ヶ月弱で2020年の年間死亡数を超えてきており、今後の推移を注意深く見ていく必要がある。


肺炎での死亡数を、公表されている1〜9月のデータで比較すると、2020年は2019年と比べて約12,000人の大幅な減少となった。

この傾向が続けば年換算で約16,000人減となる。

結論から言うと、この肺炎での死亡者数の大幅減が、全体での死亡数の減少につながったものと思われる。

新型コロナウイルス感染症と季節性インフルエンザ感染症、そして肺炎が医学的にどのように関連し、そして死亡へとつながっていくのかは、専門家の分析を待ちたい。


病気以外での死因もいくつか見ていきたい。

交通事故死者数は約400人の減少。

単純に、外出自粛等により減ったということであろう。

交通量の増減については、次のブログでとりあげる予定だ。

他殺での死亡数には大きな変化がみられない。

ちなみに2019年7月の山は、「京都アニメーション放火殺人事件」で36人が犠牲となったことによるもの。


最後に自殺者数について言及せねばならない。

最初の緊急事態宣言が出された4,5月においては、行動制限とそれに伴う閉塞感及び厳しい経営環境にもかかわらず、自殺者数は減少した。

比較的短期間であったこと、社会の分断がそれほど進んでいなかったこと、そして雇用調整助成金等の施策により、生活困窮者を含め多くの国民が耐え忍ぶことができたものと推測される。

一方でその後、6月から女性が、8月から男性が前年の水準を上回るようになり、それが年末まで続いた。

その結果、男女合計でリーマン・ショック後の2009年以来11年ぶりに増加に転じた。

年間で男性が微減となったのに対し、女性の自殺者数は14.3%の大幅増となった。

健康問題、生活苦、家庭問題等の、原因・動機の詳細な分析が待たれる。

 

注1)2020年10〜12月のデータは未公表だが、例年と比べて極めて少ない感染状況から死亡数も極めて少ないものと推測


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