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  • 執筆者の写真江川誠一

パラレルワーカーな日々⑤

(本ブログはアスリックニュース2023年1月号からの転載である。)


業務Xについて、ある人の肩書きAが同じ人の肩書きBと競合したらどうなるだろう。

あるいは肩書きAと肩書きBによる取引Yについて、Aには利益、Bには不利益となることは許されるのだろうか。


一つの組織に属していると、自ずとその組織の利益を主に考え、行動することになる。

上記のようなことに起因する悩みは生まれない。組織内で複数の肩書を持つ場合は少し迷う場面があるかもしれないが。


私は現在、一つの組織にとどまらない複数の肩書きを持っており、肩書きAと肩書きBで対立するようなことが起きないとも限らない。

パラレルワーカーならではの二股状態、または股裂き状態で困惑したり、あるいはそれに乗じて自己への利益誘導に走りかねない恐れがある。



法律では、法人の役員に一定の制限を課すことにより、このような事態に陥ることへの歯止めをかけている。

一般社団法人に関する記述を以下に引用する。


一般社団法人及び一般財団法人に関する法律

第84条 第1項

理事は、次に掲げる場合には、社員総会において、当該取引につき重要な事実を開示し、その承認を受けなければならない。

一 理事が自己又は第三者のために一般社団法人の事業の部類に属する取引をしようとするとき。

二 理事が自己又は第三者のために一般社団法人と取引をしようとするとき。

三 一般社団法人が理事の債務を保証することその他理事以外の者との間において一般社団法人と当該理事との利益が相反する取引をしようとするとき。


第一号が「競業避止義務」、第二号と第三号が「利益相反取引の制限」と呼ばれるものである。

ちなみに会社法でも同様の条項がある。


複数の肩書きを活用することにより、すべての関係先や地域社会へよい相乗効果をうむ可能性のある機会が、私の周りにはとても多く存在する。

私が常に、複数の肩書きを前提にした思考回路を持っていることに加え、周りがそれを期待することが多いからだと思われる。

そのような場合、走り出す前にいつも確認しているのが「競業」していないかと「利益相反」していないかである。

ちょっとグレーだなと感じたら、立ち止まって「WIN-WIN」に化けさせる方法を考えることにしている。

これは実に難しく悩ましいプロセスであるが、それと同時に、より良い事業へと昇華させる面白いプロセスでもある。

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