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  • 執筆者の写真江川誠一

With COVID-19 Crisis

現在進行形の危機について、X が根絶されること(After X)は多分なく、X との付き合い方がわかり季節性インフルエンザ感染症と同様に社会的許容がなされること(With X)で、危機を乗り越えられる(After X-crisis)のだろう。

そこに至るまでは、危機を抱えながら(With X-crisis)生きていく他ない。


と3/11に書いてから(1) 3週間近く経過し、

「1年ほどは危機もWithだな」

「当面危機を抱えながらいきていく他ない」

「Live with X-crisis」

と考えを少し変えるようになった。

それは次のような思考実験からきている。

集団免疫率H(2)は再生産数R0(3)によって決まる(4)。

COVID-19の場合、R0は1.5〜2.5と言われているので、Hは33.3%〜60%

要するに、ある集団において3分の1〜6割の人が感染し免疫を獲得すれば、その集団は集団免疫を獲得し感染は収束に向かうということだ。

この理論に則れば、イタリアは人口6,000万だから2,000万〜3,600万人という途方もない数の感染者が必要なはず。

現時点で累計感染者約10万人だが、未検査感染者が検査済感染者の10倍いたと仮定してもまだ100万人であり、集団免疫まであと最低20倍となる。

この計算方法だと、オーバーシュートが起こっても収束には程遠いことがわかる。

ちなみに日本の人口に33〜60%を乗じると約4,000万〜7,500万人。

現時点で累計感染者2,000人弱だから、少なくともこの2万倍の感染者が必要で、それは何十年何百年もかかることになる(ワクチン完成の方がはるかに早そう)。

計算方法を変えよう。

オーバーシュートせず常に適切な医療が維持されていると言う前提の下、日本のCOVID-19の致命率を先進国のインフルエンザ感染症に近い0.1%と、いささか楽観的に仮定してみる。

先に計算した約4,000〜7,500万人に致命率0.1%を乗じると、死者は約4万〜7万5千人。

この死者レベルが収束の目安とすれば、現在、累計死者50人強だからこれが800〜1,500倍に至るまで収束しないと言うことになる。

多めにみて月1,000人の死者(これはもはやオーバーシュートか?)としても40〜75ヶ月かかる(ワクチン完成の方が早そう)

ちなみにイタリアは累計死者が1万人を超えた。

致死率0.1%とすれば感染者1,000万人で、先に計算した2,000〜3,600万人の下限の半分の段階にあり、今がピークということになりそうだ。

悪くない結論だが、医療崩壊状態にあると言われている今のイタリアでこの説は無理筋にも程があるように思える。

以上より、COVID-19のR0が1.5〜2.5のままでは、その集団の感染拡大は数年程度の長期戦で収まるものではないことがわかった。

自粛要請や強制的ロックダウン等による行動変容で、これを下げる事は可能だろう。

実際、3月初めの日本では、R0<1を達成していたと言う。

1以下であれば流行は自然に収束する(Hは計算上マイナスとなる)。

ただ、日本全体でR0<1を達成したと言っても、ある集団でR0>1であればそこでは集団免疫を獲得するまで感染は収束しない。

自粛要請により全ての集団でR0<1を目指すとともに、R0>1となってしまった小さな集団(クラスター)を徹底的に潰すことに資源を集中すると言うのが、この国の戦略のようだ。

あらゆる集団において行動変容が徹底され続ければ、感染拡大は防げる。

ただし、ウイルスは根絶されることなくどこかでくすぶり続けるとともに、強い行動変容を長期に渡って続けることは副作用が大きすぎるため、全ての国内集団においてR0<1を達成する事は困難であろう。

よって、国内でまだらかつ断続的に「感染縮小→行動変容の緩和→感染拡大→行動変容の強化(→感染縮小)」が続く。

この揺らぎの繰り返しは、長期に渡る行動変容の一定程度の継続に必要な緩急と捉えるべきであろう。

全ての集団において再生産数を長期間に渡り低く保てたとしても、行動変容からの脱出にはワクチン完成を待つしかない。

以上より、ワクチン(特効薬?)完成まで、この危機的状況に嫌でも付き合うしかなく、その時期は1,2年と思っておいたほうが良さそうだ。

明けない夜はないがいつ明けるかは他人任せ。

やがて春がやって来るのも間違いないが、今年は多分ずっと冬(根拠はないが)。

その間続くのは厳しい出入国規制と、強弱織り交ぜながらの自粛要請と、時空限定的なロックダウン(これも要請だが)。

ほとんどの事業者や個人において、これまでのやり方では、仕事も暮らしもマイナスばかりとなる。

そういう前提で考え、行動するしかない。

何かを変えるチャンスと捉えられるならば、どんどんそうするべき。

様々な改革や工夫でどうにかなるのであればそうする。

中途半端な覚悟や意識変化でどうにもならない場合は、そこを頑張って超えるか信頼できる人に頼る。

それぞれの持ち場でできることをまずはやった上で。



 

(1) Facebook

(2) 集団免疫率H:ある集団においてどれくらいの割合の人がその感染症に対する免疫を持っていれば、集団の中での感染が阻止されるかを示す

(3) 基本再生産数R0:1人の感染者が周囲の免疫を持たない人に感染させる2次感染者の数

(4) H=(1-1/R0)×100

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