虚ろなふるさと納税3
- 江川誠一
- 5月2日
- 読了時間: 2分
注:本ブログは筆者の連載「浮草の如く」(アスリックニュース)の2024年7月号からの転載である。
本誌への過去のコラムにて、ふるさと納税の問題点を二度指摘している。
今読み返すと、我ながら辛辣である。内容を以下に要約する。
(1)浮草の如く52 虚ろなふるさと納税(アスリックニュース2015年11月号)
高額納税者は、大分県国東市へ100万円ふるさと納税(実質負担2千円)すると、返礼品として35万円相当の一眼レフカメラとレンズセットを貰える。
そこには「ふるさと」の欠片もない。ふるさとへの強い思いをも吹っ飛ばすような、虚しいお土産競争はもうやめてはいかがだろうか。
(2)浮草の如く58 虚ろなふるさと納税2(アスリックニュース2016年6月号)
高額納税者は、大分県国東市へ100万円ふるさと納税(実質負担2千円)すると、返礼品として66万円相当の一眼レフカメラとレンズセットを貰える。
ふるさと納税は寄付の形を取ってはいるが返礼品と不可分。その欺瞞にあざとく乗ったものが得する世界。明らかに制度の欠陥である。
その後、返礼品競争に歯止めをかけるため、総務省は地場産品基準を厳格化するとともに返礼割合を3割以下と定めた。
上の例はキヤノンの工場が同市に立地しており地場産品基準は満たしているが、3割基準は大きく超過。現在は約170万円のふるさと納税に対し、ミラーレスカメラとレンズセット(価格比較サイトでの最低価格約46万円)を返礼品としており、基準を満たしている。
高額所得者は2千円で46万円の品ゲットという驚愕の事実に変わりはないが。

そしてその後、ふるさと納税の仲介サイトによるポイント付与競争が活発化していた。
そこで総務省が次の手を打った。
令和7年10月からポイントを付与するサイトを通じた寄付の募集を禁止
(松本総務大臣記者会見2024年6月25日)
この程度の改善策で、辛辣さのレベルを落とすわけにはいかない。
住民税は居住地維持費用(地域への会費)と言えるから、ふるさと納税をする人は行政サービスのフリーライダーである。
税の公平性が失われ、高額納税者ほど儲かり、行政サービスのフリーライダーを生み、返礼品競争というくだらないことに自治体の優秀な人員を割き、仲介サイトは税金から暴利を貪る。「法律上許されるからやっているだけ」とどっかの誰か言うような行動を、さもしい関係者たちはやっちゃっている。
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